扉温泉

扉温泉明神館は、八ヶ岳・美ヶ原高原の南、標高千メートルの谷間に湧くいで湯です。

明神館松本という言い方もここの明神館です。

扉温泉に2軒ある宿のひとつが明神館です。

昭和の中頃には、湯治場として賑わった宿ですが、現在は「和風」をコンセプトとした新しいリゾートに生まれ変わっています。

客室にはさまざまなタイプがあり、ベッドのある部屋も種類が多彩です。

シーツには天然素材を使い、床下には炭を敷き詰めるなど自然にこだわった、体に優しい設計になっています。

もちろん、部屋からは渓谷や山の景色を眺めることができます。

半露天のお風呂がついた客室もあり、いつでもお湯が楽しめてとてもおすすめです。

明神館の定番料理は、和食懐石。

地元の安心食材や旬の美味しい食材を使った元気になるお料理が自慢です。

また新しいモダン和食やオーガニックフレンチも味わえるところも魅力です。

そしてアロマルーム なつらでのアロマテラピーも人気の宿です。

         ■さそわれて 旅■

扉(とびら)という謎のような地名が面白い。
真理の扉、美の扉というような言葉を連想する。
人生の幸福が、扉峠のかなたに深く秘められているかと思うような、人跡に荒らされない山々のふところ、薄川の渓谷に扉温泉はある。松本市の東南四里、1,050m位の高さである。

春は目の覚めるような深緑の中に、赤いつつじが素朴な人間のまごころを思わせている。

夏になると、美ヶ原や鉢伏登山、避暑静養の客で静かな渓谷がしばしにぎわう。
しかし、涼風のここちよき室々には、読書人の来り遊ぶのも少なくはない。

秋は満山の紅葉火のように燃えて、ボナールの絵のようにけんらんとはえている。
読書にあきた炬燵の中で、なにげなく渓流の音に耳をかたむける。
遠くの方で多ぜいの人が、何かささやいているような、また歌っているような錯覚をおこすことがある。
私は酒をたしなまないが、

冬の扉温泉の炬燵の中で、気の合った友達がのみかわす酒の味は、かくべつであろう。扉は、額に汗して働く人々や、その家族のなごやかないこい、たのしいまどいの場所である。
温泉を絃歌のちまたとしか考えない人々には無縁の場所であろう。

(向坂逸郎)